2020.2.15 予防歯科
予防歯科ってそもそも何?歯のクリーニングや定期検診のススメ
「予防歯科」と聞くと皆さまはどのようなものをイメージしますか。歯磨き粉のCMなどでも使われている言葉になりますが、厳密には「予防歯科」という表現はあまり正しくありません。〇〇科のように診療科目とごちゃごちゃになって混乱を招くケースのある「予防歯科」について取り上げ、歯のメンテナンスの重要性をご説明いたします。
予防歯科とは??
予防歯科とは、「虫歯や歯周病になる前にそうならないように予防しましょう!」という考え方のことを指しています。〇〇歯科と付いているため、一見するとそういう診療科目があるように感じられますが、小児歯科や矯正歯科などと並列にあるものではなく、ご家庭での歯磨きの精度を上げていただいたり、歯科医院での歯のクリーニングや定期健診などで「虫歯や歯周病などの歯の病気に罹りにくくしよう!」という取り組みのことです。
予防歯科が意味する内容
● 歯磨きなど、ご家庭でのセルフケアの強化
● 歯のクリーニングや定期検診など、歯医者さんでのプロフェッショナルケアの習慣付け
虫歯になってから歯医者さんでは遅い!(歯がかわいそう…)
日本では、「歯医者さん=虫歯を治療するところ」という認識が一般的ですが、そもそも歯は具体的な症状が出てから手を施せば良いというものではなく、悪くなる前に定期的にメンテナンスをして良い状態をキープすべきものです。
歯科先進国と言われているスウェーデンでは、1970年頃から「予防歯科」の取り組みが国家レベルで強化され、虫歯や歯科予防を教育の中に根付かせたり、20歳未満の歯科治療の無償化や定期検診の推進などが行なわれてきました。
80歳を迎えたときに残っている天然の歯の本数については、スウェーデン人の場合約20本に対して、日本人だと約7本程度だという調査結果もあります。虫歯や歯周病になってから仕方なしに歯医者さんの扉を叩いているようでは、将来的に楽しくお食事できなくなる可能性が高くなってしまうのです。
定期検診を活用すれば、生涯治療費も安くなる!
特に北欧諸国では、歯医者さんの利用目的として、歯の治療と同程度に歯のメンテナンスに重きが置かれています。しっかりとメンテナンスしていれば、歯が長持ちして「年をとっても自分の歯で食事できる」という認識が広く浸透しています。
日本ではまだまだこの認識が乏しく、依然として「痛くなったら歯医者さん」という扱われ方がされていますが、これは結局のところ金銭的な負担を大きくすることにも繋がります。虫歯や歯周病になって抜歯する確率が上がれば、生涯インプラントをしたり、入れ歯の使用が必然的になっていきます。これらの治療費を年を取ってからまとめて支払うのと、若いころから定期検診を利用して僅かな費用でカバーしていくのとでは、経済的な負担が大きく変わることがご想像できると思います。ましてや、後者の場合には「おいしく快適に食事できる」という得点まで付いてきます。
歳をとったときに後悔することの第一位が「歯の定期検診を受けていればよかった…」というアンケート結果もあります。失ってからでは遅いのが歯の健康です。ぜひ、予防歯科という認識をお持ちいただき、定期的に歯医者さんで歯のメンテナンスをお受けください。
歯医者さんの「予防歯科」で実施している内容
歯科医院での予防歯科のベースになるのは「歯のクリーニング」です。どれだけ丁寧にご家庭で歯磨きをしても、こびりついた歯垢である「バイオフィルム」が見えにくい箇所に少なからず残っているのが通常です。特に歯並びがあまり良くない患者さまの場合には、これらが固まって「歯石」となり、定期的に取り除いてあげないと「歯周病」が進行してしまうケースも少なくありません。
ご家庭でのセルフケアのみでお口環境を完璧に維持するのはまず不可能ですので、定期的にプロにメンテナンスしてもらう意識をお持ちください。
「歯科衛生士」がアナタのお口の健康維持をサポート!
歯医者さんで歯のクリーニングを担当するのは「歯科衛生士」と呼ばれる予防歯科のプロフェッショナルです。歯の治療をお手伝いする「歯科助手」のような立場ではなく、歯科衛生士は歴とした国家資格を有するスペシャリストになります。どうぞ安心してお任せください。
スケーラーと呼ばれる専門の器具を使用し、歯にこびりついた頑固な汚れを徹底的に除去させていただきます。「歯を白くよみがえらせる」という点では、ホワイトニングほどの明確な作用まではありませんが、歯のクリーニングだけでもある程度「健康的な白い歯」を維持できるようになります。
「予防歯科」という概念をぜひアナタの日常生活に♪
当コラムでは、「予防歯科が意味するところ」についてご紹介し、それが長期的にお口環境の健康を維持するために重要な旨をご説明しました。ご案内した内容は歯科医院にお越しいただくための誇大広告でも何でもなく、むしろある程度歳を重ねたときに「あの時定期検診を始めて良かった…」と思っていただけるくらいに確かな内容です。
初めてお越しいただく際には、治療すべき箇所が見つかる可能性もございますが、習慣化していただければ必要なタイミングで最小限の調整で口腔環境をケアすることができます。
定期検診に通うペースはどれくらいがおススメ?
健康な歯の維持に欠かせない定期検診は、一般的に季節ごとのご利用をおススメしています。半年ごとや1年ごとでは少し間隔が空き過ぎていて、お口の中のトラブルの発見が遅れてしまう可能性もあります。健康な状態でお越しいただいている分には、定期検診で長い時間を要することはありませんので、できれば3、4ヶ月ごとに歯医者さんにお越しください。
皆さまのご来院をお待ちしています。