矯正治療は美しい歯並びに整えるための「美容的なアプローチ」だと考えられがちですが、噛むという機能面の補正でもあります。矯正治療によって噛み合わせが整うことで、顎周りの痛みや肩こりが緩和するケースが少なくありません。また噛み合わせの悪さが噛み癖などをもたらし、これが全身の歪みへと発展してしまっている場合もあるため、矯正治療によって様々な身体的症状が改善していくこともあります。特に肩こりに悩む患者さまは、ぜひ当コラムで矯正治療による肩こり解消効果についてご確認ください。
目次
歯並びや噛み合わせの悪さは肩こりの原因に!?
肩こりがもたらされる原因は様々なものがありますが、その中に「歯並びの悪さ」や「噛み合わせの問題」が潜んでいるケースが少なくありません。歯並びや噛み合わせが悪いとお食事などで咀嚼する度に顎や顎周りの筋肉に負担がかかり、ここが硬直することで血行が滞りやすくなります。
初めは顎周りの痛みだけで済んでいても、顎周辺の筋肉の硬直は徐々に肩の血流にも波及していき、やがて肩こりを感じやすくなっていきます。「肩こり=歯並びが悪い」とは言い切れませんが、歯並びや噛み合わせが悪い場合には、顎周りへの負担や肩こりへの影響が少なからずあると見て良いでしょう。
肩こりだけでなく、実は腰痛の隠れ因子になっていることも…
肩は顎と密接につながっているため、肩こりと噛み合わせの悪さの関係について考える患者さまはたくさんおられます。ところが、噛み合わせの悪さや普段の噛み癖が「身体の歪み」をもたらしてしまう可能性があることに気付いている患者さまは少ないです。
特に右側、左側など、片側の奥歯でばかり噛んでしまう習慣を持っていると、いつの間にか表情筋のバランスが崩れてきたり、お顔のゆがみや歩行時の癖等にも発展していき、これが腰痛などを引き起こしてしまうケースもあります。歯並びを整える矯正治療を行なうことで、腰痛が緩和してきたという例も実際にございますので、お口の中の歯並びや噛み合わせは侮るべきものではありません。
肩こりと歯並びのチェック項目
普段から肩こりをお感じになる患者さまは、次に挙げる項目をチェックしてみてください。当てはまるものが多い場合には歯並びや噛み合わせの悪さが肩こりを引き起こしている可能性が高いと言えるでしょう。
肩こりと因果関係の深いお口周りのチェック項目!
● お食事の際にどちらか片側の歯でばかり噛む傾向がある
● 歯並びに明確な凹凸があり、しっかりと噛み切ることが苦手である
● 奥歯で噛み合っているときに前歯に隙間ができている
● お顔を真正面から見たとき、歯の上下の中心線が一直線になっていない
● 寝起きなど、顎関節が痛いことが少なくない
● 口を大きく開けると顎周りでカクカクと音がする
● 無意識のうちに喰いしばってしまう傾向がある
● 就寝中に歯ぎしりをしていると指摘される
多くあてはまる患者さまほど肩こりとの因果関係が疑われるため、矯正治療によって肩こりやお身体の歪みを改善できる可能性が高いです。
矯正治療では、審美性と共に「精密な噛み合わせ」を追求します
矯正治療では、見た目の美しさもさることながら、噛むという咀嚼機能の精度を追求します。お食事の際に私たちは一般的に数kg~30kgの加圧を歯に加えると言われていますが、これらの力はバランスの良い噛み合わせによってキレイに負荷が残ることなく分散していきます。
逆に言うと、噛み合わせが良くない場合、噛んだ時の負荷は必要以上に顎骨や顎の筋肉へと伝わり、これが筋肉の硬直や血行の低下などに繋がっていくのです。このため、歯列矯正ではただ「横並びの見た目」を整えればよいというものではなく、上下の噛み合わせを含めて口腔環境を立体的に整えていきます。
少しずつ動かすというプロセスになるため、かなり精密な作業工程を要しますが、このあたりはプロの矯正歯科にお任せください。歯を動かしていく過程で時として痛みが生じたり、以前より肩こりが酷くでるケースもございますが、一時的なものとして最終的には治まっていきます。
豊富な歯列矯正法をご用意!
当院では、矯正治療中の見た目の問題を少しでも緩和できるように「クリア矯正」や、「裏側矯正」などもご用意しています。またお口の中にワイヤーなどの金具を装着することに抵抗がある場合には、「マウスピース矯正」という方法で着脱可能なものをご利用いただくこともできます(歯並びの状態にもよります)。
いずれにしましても、歯科治療は日進月歩の世界ですので、以前よりも格段に治療中のストレスが感じにくくなってきています。どうぞ安心してご相談ください。
まとめ
当コラムでは、肩こりや身体的な歪みと歯並びや噛み合わせの関係についてご説明し、これらを解消できる可能性のある矯正治療を簡単にご紹介いたしました。日本人は諸外国の方々と比較して肩こりに悩むケースが多いと言われますが、一つの理由として身体全体を動かすことの少ない職種に従事している人の割合が増えてきていることが考えられます。
また、近年では特に若者を中心としてスマホの影響が出ていることも否定できませんし、食卓に柔らかいものが並ぶようになってきたことで顎骨の発育が促されにくくなり、これが歯並びや噛み合わせの悪さへと繋がっている可能性も否定できません。ご紹介したように、歯並びや噛み合わせは顎や肩だけではなく全身にも影響を及ぼす大切なものなので、特に歯並びと肩こりの両方にお悩みを抱えておられる患者さまは、ぜひ前向きに歯列矯正をご検討ください。
皆さまのご相談をお待ちしております。