2020.2.17 小児歯科
子供の歯の予防はいつからやるべき?その時期と手順
子育てをされていると、どのタイミングでお子さまの歯磨きを始めれば良いのか疑問に思うかもしれません。また、「仕上げ磨き」の際には気を付けたいポイントなどもあり、知っているのと知っていないのとでは将来的にお子さまのお口環境に違いが出てくるケースも考えられます。当コラムで「子供の歯の予防ポイント」についてご確認ください。
乳幼児の虫歯予防 歯磨きを始める時期とコツ
1歳未満の乳児や6歳未満の幼児の子育てにおいては、「歯磨き習慣」を無理なく定着させることが大切になります。いくつかポイントをご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
子供の歯磨き「仕上げ磨き」の姿勢(寝かせ磨き」が基本)
お子さまの歯を親御さまの手で磨いてあげることや、お子さまが自分で歯を磨いた後に磨き残しなどのフォローをしてあげることを「仕上げ磨き」と呼びます。子供自身が歯磨き習慣を確立できるまでは、親御さまの方でその習慣付けを手助けしてあげましょう。
姿勢としては、親御さまの膝の上にお子さまの頭を乗せるようにして寝かせます。耳かきや膝枕をする時のように頭を横に寝かせるのではなく、お子さまの頭を親御さまが座っている方向と同じ向きにして、膝の上で仰向けになるような形に安定させます。明るい場所でお子さまの口の中が親御さまから良く見えるようにし、利き腕とは別の手でお子さまの顎を軽く支え、優しく丁寧に磨いてあげるようにしましょう。
歯磨きの開始時期=乳歯の生え始めたとき
乳歯が生え始めるのはお子さまによって前後しますが、平均的には8ヶ月頃と言われています。「乳歯の生え始めた時期」が歯磨きを始めるのに良いとされており、最初の頃は「歯ブラシに慣れさせること」に重きを置いてください。
1歳と6ヶ月くらいになると奥歯も生えてきますので、この頃までに歯磨き習慣を確立することを目標にしましょう。
歯磨きをするのに適したタイミング
最初の頃、お子さまの歯を磨こうとすると少なからず嫌がるのが一般的です。特に歯磨きに慣れるまでは、寝かせ磨きの姿勢に持っていくことを無理に強いるようなことは避け、嫌がっている状態でも「無理やり」という形になってしまわないように気を付けましょう(歯磨きが嫌いなお子さまになってしまっては元も子もありません)。
1歳くらいまでの「歯ブラシ慣れ」を目的としている時期であれば、お子さまの機嫌の良い時間帯が歯磨きのベストタイミングです。これを繰り返しながら少しずつ歯磨きの頻度を増やし、1歳半くらいまでには食事やおやつの後に毎回磨くという習慣付けを目指しましょう。また、寝ている間は唾液の量が減って虫歯菌が繁殖しやすくなるため、寝る前には必ず磨いておくようにしましょう。
3歳までに虫歯菌に感染させないことは大切?
「生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌がいない」という話は有名ですね。子供が虫歯になってしまうのは、ママやパパ、あるいは周囲のおじいちゃんやおばあちゃんなどとの接触によって、虫歯菌がお子さまの口に感染してしまうからです。親御さまの方で噛んだものを与えてしまったり、コップやスプーン、お箸などの共有、またキスなどの愛情表現やお口を近づけたスキンシップなどがきっかけになってきます。
虫歯になるのが怖くて愛情表現を抑えるのはおススメできませんが、幼いころに虫歯菌に感染すると生涯虫歯ができやすいお口環境になるとも言われています。このため、不必要に食器類などを共有しないよう心掛け、ご家族の一人ひとりが自分のお口環境の方を整えることもお考えください。
子供の歯にはフッ素塗布やシーラントがおススメ!
子供の歯は大人の歯と比べて歯そのものが柔らかく、虫歯菌に感染すると大人とは比較にならないくらいのスピードで進行します。このため、「仕上げ磨き」などを通して親御さまの側で子供の歯の健康状態に気を配る必要があります。
フッ素塗布で歯質を強化しよう
不安定なお子さまの口腔環境をサポートする方法として、歯科医院で広く行われているものに「フッ素塗布」という処置があります。こちらは歯質そのものを強化する作用があり、虫歯菌に感染しにくいお口環境に整える効果があります。比較的多くの歯医者さんで実施していますので、積極的に活用すると良いでしょう。
シーラントで奥歯などの溝を埋めておくことも大切!
シーラントとは、お子さまの奥歯などの細かな凸凹を特殊なプラスチック素材で埋める処置を指します。既にご紹介したようにお子さまの歯は柔らかく、特に「奥歯」においては細かな溝ができて食べカスが残り菌が繁殖しやすい環境となっています。永久歯に生え変わったころには前歯の裏にも溝のようなものがありますので、この箇所にシーラントを施しておくことも有効です。
シーラントは乳歯に施すことも可能
シーラントは、一般的に永久歯が生え始める6歳頃にすると良いと言われていますが、4歳から5歳頃の乳歯の時期に施しておくことも可能です。乳歯の段階で虫歯ができてしまった場合には、永久歯にも虫歯が映ってしまうこともあるため、乳歯の段階でシーラントを施しておくという処置も有効なのです。シーラントについても、小児歯科に限らず広く歯科医院で行なわれている処置になりますので、ぜひ積極的にご活用ください。
まとめ
当コラムでは、まだ幼いお子さまの歯磨きのスタート時期やその際のコツ、虫歯になりにくくするアイデアなどをご紹介しました。お口環境や歯並びについては、親御さまとお子さまの関わり具合や家庭環境などが色濃く出てくると言われています。
特に幼い時期に親御さまの方でどのような「歯磨き習慣」を確立してあげるかで、将来のその子のお口環境は大きく変化します。ぜひ当コラムでご紹介したポイントを押さえていただき、親御さまの愛情で未来のお子さまのお口環境をベストな状態に導いてあげてください。また、その際には、当院の「定期検診」などをご活用いただけますと幸いです。