横浜セントラルパーク歯科

開咬はポピュラーな不正咬合。噛みにくい…を整える治療や改善法

前歯の上下で隙間ができている…なんてことはありませんか。前歯で食べ物をうまく噛み切れない…なんてケースだと、「開咬(かいこう)」と呼ばれる不正咬合かもしれません。英語ではオープンバイトとも言われる噛み合わせの問題について取り上げ、その治療法や改善法をご紹介します。

開咬(かいこう)はこんな症状…

開咬とは、歯と歯を噛み合わせようとしたときに、前歯の方で…もしくは奥歯の方で上下に隙間が残ってしまう症状のことを指します。多くは奥歯は噛み合っているのに前歯の方で上下に空間ができてしまう症状ですが、稀に前歯が噛み合っているのに、奥歯に空間が残るようなケースもあります。

専門的には前者を「前歯部開咬(ぜんしぶかいこう)」、後者を「臼歯部開咬(きゅうしぶかいこう)」と分類します。


実は本人が気付いていないケースも!?

開咬の場合、歯並び自体はキレイな可能性も十分にあります。歯並びと聞くと一般的に隣同士の歯がキレイに並んでいることをイメージしますが、横の並びに凸凹がなくても歯科医院では上下の噛み合わせも含めて立体的にお口環境を捉えます。一見歯がキレイに並んでいても、噛むという機能面で大きな問題を抱えていることもあり、人によってはご自分の「不正咬合(ふせいこうごう)」に気づいておられないケースもあるのです

ある調査によると、12歳~20歳までの年齢の中で、その傾向がある人も含めると1割程度の人が開咬だという結果が報告されています。 なお、イメージとして「出っ歯」を想像されるかもしれませんが、出っ歯のように上顎自体が前方に突出しているものではありません。出っ歯はどちらかと言うと噛み合わせた際に前後に空白ができ得るもので、開咬は噛み合わせようとしたときに上下にスペースが残るものです。


開咬の問題点

「咬んでいる状態で開いている…」ということですので、やはりお食事の際に咀嚼がしにくく胃腸や消化機能に負担を与えがちです。また奥歯ばかりに負担がかかる傾向があり、顎関節を痛めるリスクが高まります。これは「顎関節症」というトラブルに繋がることもあります。

さらに、口を閉じにくい構造になっていることから発音が不明瞭になりがちで、普段から口が開いている時間が長くなります。お口の中が乾燥しやすいということですので、唾液が減って口腔環境が酸性に傾きやすくなり、虫歯や歯周病にかかるリスクが高まります。細菌の繁殖から口臭が目立つようになる可能性もあり、口呼吸が習慣づいてしまうと、相対的に風邪などの病を発症しやすくなります

まとめると以下のような問題があり、開咬という不正咬合は決して侮れないものなのです。 

開咬(かいこう)がもたらすリスク 

● 発音や活舌への影響

●   虫歯や歯周病リスクの増加  

● 口臭トラブル

● 風邪など、病気に対する免疫機能の低下


開咬の治療と改善法

開咬になってしまう理由は、遺伝傾向として顎骨の構造に問題があるケースのほか、「幼少期のおしゃぶり」や「爪を噛む癖」、また「舌を前に突き出す癖」や「頬杖」などが影響している場合もあります。

既に成人に近づいている段階やもう大人になって顎骨が固まっている状況であっても、上記の癖の中で特に「舌を前に突き出してしまう癖※」が残ってしまっている場合は調整した方が良いでしょう

MFT(Oral Myofunctional Therapy)と呼ばれる「口腔筋機能療法」によって舌癖を改善する方法があり、不正咬合の治療の際に併用するケースが多いです。歯列矯正によって物理的な調整をした場合でも、このような癖が残っていると再び開咬に傾いてしまうケースがありますので、かなり重要なトレーニングだと言えます。

補足:舌を出す癖とは??   

 舌を突き出す癖とは、常に舌を前歯の歯の裏側に当てようとする傾向であったり、お食事の際に舌で食べ物を前に押し出すような癖を言います。日常的にこのような動作をしていると、前歯がどうしても前方に押し出されやすくなり、前歯で左右に隙間ができたり、出っ歯や開咬のような不正咬合をもたらしやすくなります。


開咬の治療は「歯列矯正」が基本!

開咬は、歯列矯正によって整えることができます。金属製のワイヤーや金具などを装着する「ブラケット矯正」が一般的ですが、これ以外にも歯並びの状態によって「マウスピース矯正」が選択できるケースもあります。

ただし開咬の場合、前歯の傾斜角度だけで調整できるとは限らず、歯を喉側へ押し戻すためのスペース確保が必要になることも多いです。場合により部分的に歯を削ったり、奥歯を抜いてできたスペースを利用して全体的に奥にスライドさせる方法が取られることもあります。

開咬の症状も程度の差や歯並びに個体差がございますので、ぜひ一度歯医者さんにお越しいただき、歯列と噛み合わせについてご相談ください。 


まとめ

当コラムでは、不正咬合の一つ「開咬(かいこう)」についてご紹介しました。これまで「どうも自分は噛むことが不得意だな…」と思われていた方であれば、もしかするとこちらをお読みになって開咬の可能性にお気づきになられたかもしれません。

ご紹介したように、開咬は噛み合わせという構造上のトラブルではございますが、お口環境以外にも様々な症状に繋がる可能性を残しています。 開咬は決して容易に治療できる不正咬合ではございませんが、歯列矯正によって改善することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。