2020.4.24 成人矯正
歯並びの悪さは千差万別!代表的な7つの不正咬合(不正歯列)
歯並びと一口に言っても、実際のお口の中の状態は千差万別です。それでも、悪い歯並びについては遺伝や成長過程、歯の使い方などの影響が出るため、ある程度類型化して整理することができます。当コラムでは、悪い歯並びの代表的なものを7つご紹介しますので、矯正治療を検討中の方はぜひ確認してみてください。状態にもよりますが、基本的にはいずれも歯列矯正によって解消、または改善できるものです。
不正咬合で多い症状 代表的な7つの悪い歯並び
「不正咬合(ふせいこうごう)」とは、噛み合わせが良くない歯並びのことです。歯の機能性に着目している場合、専門的に「咬み合わせ(かみあわせ)」という漢字を選択することが多く、歯並びが良くないことを「不正歯列」や「不正咬合」と呼んだりします。では、代表的な7つの不正咬合について見ていきましょう。
1.叢生(そうせい)
乱杭歯(らんぐいば)とも呼ばれるもので、歯並びが全体的に凸凹になっているものを指します。八重歯のように犬歯の突出も含まれます。顎の発達が未熟であったり、遺伝的にそのような顎骨構造であるため、歯の収まるスペースが確保されにくくなっていると考えられます。
歯をキレイに磨きにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうことが問題です。また、ガチャガチャとした歯並びは見た目の上で人としての評価にも悪影響を及ぼします。
2.上顎前突(じょうがくぜんとつ)
いわゆる「出っ歯」のことで、上の歯が下の歯よりも必要以上に前に突き出しているものを指します。先天的に上顎の骨が下顎に対して大きかったり、下顎の骨が上顎に対して小さい場合に上顎前突に陥りやすくなります。
遺伝とは別に後天的なケースもあり、たとえば指しゃぶりや爪を噛む癖によって前歯が日常的に引っ張られたり、舌を突き出してしまう癖によってこのような不正歯列に繋がることもあります。 口を開けなくても顎骨の形状において見た目への影響があるため、本人のコンプレックスになってしまうことが多いです。
子供の段階であればヘッドギアを使って上顎の成長を抑制したり、大人の矯正治療の場合には上の奥歯から全体的に歯並びを後ろに下げていく方法などが選択されます。
3.反対咬合(はんたいこうごう)
反対咬合は上顎前突の真逆の症状となり、下顎の方が上顎よりも突出している状態のものを指します。いわゆる「受け口」のことです。反対咬合の形態としては、下の前歯が垂直に生えるのではなく斜め前に傾斜しているケースと、下顎の顎骨自体が遺伝的に大きかったり、過剰に成長してしまっているケースなどに分けられます。
特に顎骨自体に問題があるケースでは、大人になってから治療をするのが困難になることが多いため、子供のうちに早めに歯医者さんに相談される方が良いでしょう。ご自身が受け口の傾向がある場合には、お子さまの成長過程で顎骨の発育などについて注意深く対応されることをおススメします。
4.開咬(かいこう)
開咬とはオープンバイトとも呼ばれるもので、奥歯が噛み合っているときに前歯が浮いて噛み合っていない不正歯列のことを指します。想像していただければわかる通り、前歯で食べ物を噛み切ることができない状態となっており、無理に噛もうとすると奥歯に必要以上に負荷が生じてしまいます。咀嚼機能上も非常に不便なもので、胃腸の負担や栄養の吸収面でも悪影響が考えられます。
5.過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合とはクローズドバイトとも呼ばれ、ちょうど開咬とは真逆の症状になります。少しイメージしづらいかもしれませんが、簡単に言うと噛み合わせが深すぎる不正歯列です。
通常、歯を噛み合わせたときには上の歯が下の歯を軽く覆うようなところで止まりますが、過蓋咬合の場合にはこの噛み合わせが深く入りすぎて、歯茎や歯を傷つけやすくなってしまいます。歯が頻繁に擦れあってしまうため、歯の摩耗が酷く歯の寿命にも影響を与えてしまいます。
6.空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間に隙間がある状態の不正歯列で、一般的には「すきっ歯」と呼ばれるもののことです。特に上前歯の中心部分など、前歯において不必要なスペースがあるものを「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼ぶこともあります。
歯に対して顎骨が小さい「叢生」とは逆の症状になり、歯のサイズ自体が小さいことが原因となっているケースがあります。また、本来あるはずのない「過剰歯」が歯茎の奥に埋まっていてそれが歯の並びを妨げているような例もあります。
サ行などの発音が不明瞭になることが多く、少し舌ったらずな印象を与えがちです。空隙歯列は不正歯列の中でも最も容易に改善できるという特徴もあります。
7.交叉咬合(こうさこうごう)
クロスバイトとも言われるもので、多くは左右どちらかの奥歯が部分的に横にはみ出ていたり、左右両方の奥歯でこのような状態になっているものを指します。本来は上の歯が下の歯を軽く覆うようにして噛み合うものなのですが、交叉咬合では数本レベルで下の歯が上の歯よりも外に出てクロスします。
前歯が左右にズレているケースもありますが、一般的には下の奥歯が上の奥歯よりも外に飛び出してしまっている症例が多いです。 口の内側の粘膜を噛んでしまったり、噛み合わせがうまくいっていないため、さらなる歯並びの悪化を招きかねません。
顎関節症になるリスクもあり、見た目の上で顎が曲がって見えることで本人のコンプレックスになることも少なくありません。
まとめ
当コラムでは、日本人のお口環境に多い代表的な7つの不正歯列をご紹介しました。程度の差によってそれぞれ治療のやりやすさは異なってきますが、一般的にご紹介した不正歯列(不正咬合)は歯列矯正によって治すことが可能です。
ある程度の年齢になってくると諦めて放置してしまうケースも多いですが、長い人生を考えた場合少しでも歯の寿命を延ばせるように整えておくことがご自身のためになります。
随時ご相談を受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。